2003 年 43 巻 6 号 p. 687-690
目的. 画像診断を含めた諸検査から, 術前の胸膜播種の予測因子を分析した. 方法. 過去10年間に当院で手術を行われた原発性肺癌のうち胸部CTおよび検査データの評価可能な1469例を対象とした. これらのうち胸膜播種と診断されたのは48例 (3%) であった. 1469例の患者背景, 術前CEA値, 手術所見, 病理組織所見等について検1討した. 結果. 胸膜播種例は女性 (P=0.009), 腺癌 (P=0.004), c N1, 2 (P>0.001), CEA 10ng/ml以上 (P=0.016) の症例に有意に多く認められた. また, 胸膜播種例は全例, 術前のCT所見, 術中所見では腫瘍はP1-3であった. 結論. 胸膜播種例は全例P1-3で, 画像上胸膜から離れた肺癌では胸膜播種を認めた症例はなかった.