肺癌
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肺癌検診における喀痰細胞診
宝来 威中山 富雄楠 洋子鈴木 隆一郎
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2003 年 43 巻 7 号 p. 993-997

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抄録

目的. 大阪肺癌集検研究班が担当してきた肺癌集検での喀痰細胞診の成績を検討した.対象と方法.大阪府下8市町の一般住民を対象として, 1981年より胸部X線間接撮影と喀痰細胞診による肺癌検診を行ってきた.喀痰細胞診は40歳以上で喫煙指数400以上の者, および血痰の自覚症状を有する者 (高危険群) を対象とした.成績.1981年から2000年の20年間の受診者総数は297,628人で, この中から235人の肺癌を発見した.喀痰細胞診を行った高危険群からは, 130人の肺癌が発見され扁平上皮癌は64人であった.そのうち36人が肺門部扁平上皮癌で喀痰による発見は34人であった.喀痰細胞診で発見された扁平上皮癌は10万対110と20年間で変わらないが, 肺門部扁平上皮癌が1996年以降では約1/2に低下した.結論喀痰細胞診は, 肺門部早期扁平上皮癌の発見に不可欠な検査で, 肺癌発見率を上昇させるためには高危険群特に50歳以上の男性の多い集団を対象とした検診を行うべきである.さらに十分な精度管理のもとに喀痰細胞診の精度を高めることが必要である.

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