日本ハンセン病学会雑誌
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原著
マクロファージ内におけるらい菌生存の温度依存性
福富 康夫前田 百美松岡 正典牧野 正彦
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2009 年 78 巻 1 号 p. 7-16

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抄録

ハンセン病は細胞内寄生菌であるらい菌によって引き起こされる感染症である。らい菌は主にマクロファージとシュワン細胞に感染する。しかしながら、マウスやヒトマクロファージ内における生存・発育機構について詳細は明らかになっていない。本研究では放射性同位元素を用いた方法によりらい菌の生存率を評価した。そして、らい菌感染マクロファージを35 度で培養する方が37 度で培養するよりもらい菌の生存率を高い状態に保つことができることが判明した。また、免疫抑制性サイトカインであるIL-10 を添加することにより3週間程度生存が維持されることが分かった。一方、IL-10 未添加の場合、生存率は徐々に低下した。ヒトマクロファージの場合は、IL-10 未添加の場合でも少なくとも4週間生存は維持された。しかしながら、37 度で培養すると2週間以内に生存率は著明に低下した。これらの結果から、らい菌の細胞内における生存には温度が決定的な要因のひとつであることが判明した。

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© 2009 日本ハンセン病学会
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