日本ハンセン病学会雑誌
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らい菌熱ショック蛋白65kDa遺伝子発現マウス細胞株の樹立
中永 和枝野間口 博子松岡 正典
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1996 年 65 巻 2 号 p. 113-120

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抄録
ハンセン病における神経障害の機構を解析する手段の一つとして我々は,らい菌遺伝子を発現するマウス細胞株の樹立を試みた。モデルシステムとして,マウス細胞株はBALB/c-3T3クローンA31-1-1(A31細胞)を,らい菌遺伝子は熱ショック蛋白65kDa (hsp65)遺伝子を選んだ。らい菌hsp65遺伝子のopen reading frameを含むXmn I-BssH II断片を哺乳動物高発現系ベクターpMAMneoに挿入してpMAMneo65k-Bを作成した。 A31細胞への遺伝子導入は,リン酸カルシウム法にて行い,EcoR I消化によりpBR322のori領域を切り取ったpMAMneo65k-B (EDpMAMneo65k-B)を導入した。
らい菌hsp65の発現は、特異蛋白及びメッセンジャーRNAの解析により検出した。 EDpMAMneo65k-Bを導入したA31細胞株No. 141とそのサブクローンにおいて持続的ならい菌hsp65遺伝子の発現が観察された。細胞クローンNo. 24-10は, pMAMneo65k-Bを導入したA31細胞であるが,この細胞でもhsp65の発現が見いだされた。しかし,細胞クローンNo. 24-10において発現しているhsp65遺伝子特異的メッセンジャーRNAの量は,細胞クローンNo. 141-3のものに比べて少なかった。
これら樹立されたマウス細胞株は,らい菌の感染によって誘導される細胞傷害性細胞の標的細胞として解析に役立つものと思われる。
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