日本ハンセン病学会雑誌
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家兎骨格筋の正中神経再生への影響
安 貴林辛 暢泰宋 学成蔡 林芳王 玉魏 莉梛喬 炎陳 述矢島 幹久山田 宣孝浅野 伍朗
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1997 年 66 巻 3 号 p. 207-213

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抄録

著者らは30匹の体重2-2.5Kgの家兎を用いて左右の正中神経を約3cm切除し、その部分に広背筋と上腕三頭筋を移植し7、14、28、45、60、180日後に骨格筋内神経の形態的変化を光学顕微鏡的、電子顕微鏡的に観察した。光学顕微鏡的にはZenker's液に固定し、電子顕微鏡的には0.25%グレタールアルデヒドカゴジル酸緩衝液と1%四酸化オスミウム液に二重固定し、エポン812に包埋、薄切観察した。その結果、移植後7日、左右の神経に軸策と髄鞘の変化と共にシュワン細胞の核に変化が見られた。そして移植筋肉の遠位、近位には結合組織の増生と少数の骨格筋細胞に軽度の変性が見られた。
14-28日後には、神経にWaller変性が遠位に見られ、髄鞘の消失と細胞の増加が観察された。そして、骨格筋には細胞数の減少を認め、残存した基底膜内に神経線維の再生所見が観察された。45日から60日後では左側に比較して右側で神経再生は著明に見られ、180日では有髄神経、無髄神経が神経遠位端に認められた。広背筋では筋肉細胞の75%が長軸に平行に歩行しており、広背筋のような規則的で長い骨格筋細胞は末鞘神経の再生に有効であることが示唆された。

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