2024 年 2024 巻 68 号 p. 41-50
自然環境保全が図られた土地においてまたはそれに隣接して、野鳥観察用建物を有し、職員が常駐する施設(野鳥観察施設)が、1980 年代までに日本に定着した。その主な要因として、1) 英国等の施設についての1960 年代の紹介、2) 60 年代から70 年代の干潟埋め立て事業に対抗した自然保護運動、3) 1976 年に始まる日本野鳥の会による「サンクチュアリ運動」が挙げられる。さらに1990 年代半ばからは、旧環境庁による「水鳥・湿地センター」の整備が始まった。野鳥観察施設の増加は続き、2022 年末時点で全国に51 存在する。設置者は、市町村(22施設)、都道府県(13 施設)、環境省(12 施設)、民間団体(4 施設)であった。管理者は、民間(33 施設)、市町村(13 施設)、都道府県(2 施設)、共同管理(3 施設)である。現在の状況は、1960 年代から紹介された英国における民間団体主体のものとは異なるが、日本の社会状況に適応して展開した結果と考えられる。