発育発達研究
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基本的動作の初発期と運動能力について
古賀 範雄上田 毅青柳 領川原 弘之
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1998 年 1998 巻 26 号 p. 16-25

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抄録

本研究の目的は, 基本的動作の初発期と運動能力の関連を検討することであった。標本は4歳から6歳までの幼児376名であった。24項目の基本的動作の初発期を調査し, あわせて運動能力の測定を行った。この調査と運動能力の測定より, 初発期の早い遅いとその後の横断的な4歳, 5歳, 6歳の各時点における運動能力との関連を検討した。
結果を要約すると, 次の通りであった。
1) 基本的動作の初発期には, 個人差が大きいと思われた。
2) 基本的動作の初発期と運動能力の間には関連がみられたが, その関連がみられた動作は全動作のうち, 4歳児では20.8%, 5歳児では50.0%, 6歳児では20.8%であった。
3) 基本的動作の初発期と運動能力との関連においては, 4歳児の「ける」の初発期と「ソフトボール投げ」及び6歳児の「おりる」の初発期と「ソフトボール投げ」の関連を除いては, 初発が相対的に早い方が運動能力は有意に優れていた。
4) 5歳児では, 初発期と運動能力に関連がみられた割合は比較的に高く, 運動能力の中でも特に「25m走」との関連が多くみられた。
5) 初発期と運動能力の関連がみられた基本的動作は, 各年齢で共通するものは少なかった。各年齢を通じて関連がみられた初発期と運動能力の項目は,「うつ」の初発期と「25m走」だけであった。
6) 運動能力の種目を1種目に限定しなければ,「さかだちする」及び「うつ」が各年齢を通じて関連がみられた動作として挙げられた。
7) 初発期と運動能力の関連の中で, 初発期の「早い」群が,「普通」群及び「遅い」群よりも運動能力が優れている点だけに注目すると, その関連 (動作) の割合は, 4歳児では12.5%, 5歳児では16.7%, 6歳児では16.7%であった。

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