高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Online ISSN : 1880-6554
Print ISSN : 1348-4818
ISSN-L : 1348-4818
シンポジウム : 高次脳機能リハビリテーションの流れ
痴呆のリハとケアのあり方
博野 信次
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 23 巻 3 号 p. 206-214

詳細
抄録

  リハビリテーション(リハ) とは,「障害者が一人の人間として,その障害にもかかわらず,人間らしく生きることができるようにするための総合的体系」であり,けっして「訓練をして障害を治すこと」ではない。痴呆の中核症状である認知機能障害をターゲットとした認知機能訓練は,その効果と効率に大きな限界があり痴呆のリハの主たる方法ではあり得ないのが現状である。
  より重要で効率的な痴呆のリハは介護者教育である。その内容としては,原因となった疾患の診断と予後,認知機能障害・精神症状・身体障害のパターンや重症度,これらの障害がいわゆる問題行動につながらないようにするための対処法,これらの機能障害により生じた日常生活活動障害に対する介護方法,デイケアや訪問サービスをはじめとした社会資源の活用法などがあげられる。本稿では痴呆のリハとしての介護者教育の重要性について,これまでに私たちが報告してきた知見を示しながら述べていきたい。

著者関連情報
© 2003 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top