高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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23 巻 , 3 号
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シンポジウム : 高次脳機能リハビリテーションの流れ
  • 加藤 元一郎
    2003 年 23 巻 3 号 p. 179-180
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
  • 三村 將, 小松 伸一
    2003 年 23 巻 3 号 p. 181-190
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    記憶のリハビリテーションのあり方を考える際,2つの理論的枠組みが重要である。1つは目標を設定する際の枠組みであり,機能障害よりも患者の日常生活上の問題点 (能力障害) の改善に力点を置き,個々の症例の重症度や障害の特徴をふまえ,テーラーメイドに記憶の代償手段や効率的な学習技法を組み合わせていく。もう1つはリハビリテーションの目標を遂行する過程での枠組みであり,記憶障害患者と健常者との認知過程の相違点に注意することである。ことに誤りなし学習の有効性が繰り返し報告されているが,一方で,患者の能動的参加を促進することも重要である。患者の労力の喚起が新連合の学習にとって有用であることを,知覚同定型の新しい手がかり漸減法を用いた訓練課題で示した。誤りを喚起せずに患者の心的処理労力を動員することは,記憶障害患者の新しい学習にとってもっとも良好な条件となると考えられた。
  • 柏木 敏宏
    2003 年 23 巻 3 号 p. 191-199
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
      異なる2つのテーマを議論した。慢性期失語症の改善では,機能再編成に関する過去の筆者らの研究から機能再編成が実際に生じている証拠を提示し,慢性期失語症の改善が神経系の迂回路形成である機能再編成に負うところが大きいと推論した。また,重度失語症者の描画機能をとりあげ,離断性無視および半球内損傷性無視の理論にならって,左半球損傷における右半球機能の解放現象という考え方を提起した。これらの考えにもとづいて,失語症状に対する治療的介入のあり方について私見を述べた。
      失語症者の社会参加を阻む最大の要因は失語症である。しかし,失語症に関する知識を社会に広めることが失語症者の使命だと考えれば,大きな社会貢献が可能である。40日間東日本ドライブ一人旅という大冒険に成功した1人の失語症者の話と言語聴覚士養成校における学生との対話会について報告した。
  • 種村 留美
    2003 年 23 巻 3 号 p. 200-205
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    失行失認,とくに肢節失行,視覚失認等においては,対象に関する意味記憶との結びつきを目標として,認知モデルにもとづいた促通および学習の経路を確保することによって障害の改善がもたらされる。また,失行失認例における実生活上の問題点を調査すると,従来考えられていた以上に多様な生活障害が生じていたが,一方で適応への対応もなされていた。このような生活障害に対する対策および援助は十分有効であった。
  • 博野 信次
    2003 年 23 巻 3 号 p. 206-214
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
      リハビリテーション(リハ) とは,「障害者が一人の人間として,その障害にもかかわらず,人間らしく生きることができるようにするための総合的体系」であり,けっして「訓練をして障害を治すこと」ではない。痴呆の中核症状である認知機能障害をターゲットとした認知機能訓練は,その効果と効率に大きな限界があり痴呆のリハの主たる方法ではあり得ないのが現状である。
      より重要で効率的な痴呆のリハは介護者教育である。その内容としては,原因となった疾患の診断と予後,認知機能障害・精神症状・身体障害のパターンや重症度,これらの障害がいわゆる問題行動につながらないようにするための対処法,これらの機能障害により生じた日常生活活動障害に対する介護方法,デイケアや訪問サービスをはじめとした社会資源の活用法などがあげられる。本稿では痴呆のリハとしての介護者教育の重要性について,これまでに私たちが報告してきた知見を示しながら述べていきたい。
カレントスピーチ
  • 加藤 元一郎
    2003 年 23 巻 3 号 p. 215-218
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    日本高次脳機能障害学会(旧 日本失語症学会)Brain Function Test委員会注意・意欲評価法作製小委員会は,本邦における注意障害および意欲障害に関する標準化された検査法を作製することを目的として,標準注意検査法(SCAA:Standard Clinical Assessment for Attention)と標準意欲評価法(SCAS:Standard Clinical Assessment for Spontaneity)を開発中である。本稿では,この2つの検査バッテリーについて概説し,現在の進捗状況を報告する。
  • 宮本 享, 三國 信啓, 池田 昭夫, 大東 祥孝
    2003 年 23 巻 3 号 p. 219-223
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    脳神経外科領域で治療を行う疾患を通じて,言語機能に関する高次脳機能とその部位診断について研究を行った。先天的疾患である脳動静脈奇形では,利き手や言語記憶優位半球が偏位することが多く,遺伝子異常による病態が関与している可能性がある。側頭葉てんかんにおいては,言語記憶優位半球が健側に偏位していることが多い。言語記憶優位側における側頭葉内てんかん焦点や脳腫瘍の外科的治療に際しては,硬膜下電極による詳細な脳機能マッピングを行っている。その結果,側頭葉底面にも言語高次機能を有する領域があることが判明し,この部位を温存する手術アプローチを行っている。
原著
  • 海野 聡子, 永井 知代子, 岩田 誠
    2003 年 23 巻 3 号 p. 224-230
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    神経ベーチェット病患者8例の神経心理学的所見について検討した。程度は異なるが共通して記憶障害があり,言語性/視覚性両課題における遅延再生の障害が特徴的であった。8例中4例に遂行機能検査での成績の低下があった。明白な人格変化を呈したのは1例であった。脳血流SPECTでは,前頭葉,側頭葉の血流低下があり,これらの障害を反映していた一方で,頭部MRI所見は,視床,基底核,脳幹などの皮質下構造の病変の検出にとどまり,これらの障害と対応していなかった。したがって,神経ベーチェット病の記憶障害の神経基盤は,頭部MRIで検出される皮質下構造の病変のみならず,大脳皮質の機能障害も関与していることが示唆された。
  • 関野 とも子, 古木 忍, 石崎 俊
    2003 年 23 巻 3 号 p. 231-240
    発行日: 2003年
    公開日: 2006/04/21
    ジャーナル フリー
    仮名1文字の音読はほぼ良好だが,仮名無意味綴りの音読に著明な障害を示す phonological dyslexia1例に対し,文字表記形態を操作した仮名単語(実在語) の音読課題を実施し,その反応パターンの分析から症状の発現機序について考察した。本例は,単語親密度および表記妥当性の高い(つまり形態親近性が高い) 語の場合は,良好な音読成績を示す。しかし表記妥当性の低い語は,1文字ずつ音韻変換をはかる逐字読みのストラテジーを用いようと試みるのだが,変換した一部の音韻から目標語とはかけ離れた別の語を連想,表出するといった形態的錯読ともいえる反応が頻発した。したがって本例の仮名単語音読処理は文字列の形態親近性の識別が先行し,それが高いものは Warringtonら(1980) の語形態処理モデルに相当する形態処理ルートを,低いものは逐字読みルートを経由するが,本例ではそのうちの後者が特異的に障害されていると考えられた。
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