高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム
海馬セロトニン系と顕在記憶
安野 史彦
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2004 年 24 巻 2 号 p. 119-128

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抄録

近年の研究はセロトニン神経系が記憶機能に重要な役割を有することを示唆している。われわれは脳内5-HT1A受容体に特異的に結合する[11C]WAY-100635をリガンドとした positron emission tomography (PET) を用いて脳内5-HT1A受容体結合能を測定し, 記憶機能との関連を検討した。さらに5-HT1A受容体の作動薬であるタンドスピロンを用い, 5-HT1A受容体の刺激が認知機能に及ぼす効果について検討を行った。両側海馬に限局した後シナプス5-HT1A受容体の結合能は, 被験者の顕在記憶機能との間で負の相関を示した。タンドスピロン投与は用量依存的に言語性顕在記憶機能を低下させた。結果は海馬に局在する後シナプス5-HT1A受容体が, 顕在記憶機能に対して抑制的な影響を有することを明らかにした。

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© 2004 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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