澱粉科学
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馬鈴薯澱粉ゲルの強度に及ぼす他種澱粉の影響
澱粉の物性に与える食品成分の影響 (第1報)
小島 隆寿小沢 敏之
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1985 年 32 巻 1 号 p. 45-50

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抄録
市販の代表的な澱粉である馬鈴薯澱粉と異種澱粉であるコーンスターチなどを混合し, 粘性, ゲル特性を調べた結果, 次のことがわかった.
1) 4%澱粉濃度のアミログラム特性値は, 粘度上昇開始温度では, コーンスターチの混合比が増すに従いS字型に増加し, 最高粘度および30℃冷却粘度では, コーンスターチの増加に伴いほぼ比例して減少した.
2) 15%澱粉濃度のゲル強度では, コーンスターチが馬鈴薯澱粉に10-50%の範囲で混合されると, ゲル強度は対照馬鈴薯澱粉より10-20%高くなった.
3) 顕微鏡観察では, ゲル強度上昇効果のみられた混合澱粉のうち, 糊化開始温度の高いコーンスターチ粒は膨潤が遅れていた. 一方, 上昇効果のみられなかった混合系では, 両澱粉の糊化, 膨潤は並行して進んでいた.
4) ゲル強度上昇効果を示した混合澱粉の低温保存によるゲル強度の変化は, 85℃加熱処理では馬鈴薯澱粉に, また120℃加熱処理ではコーンスターチに近似した変化を示した.
以上のことから, 馬鈴薯澱粉とコーンスターチの混合系におけるゲル強度上昇効果は, 糊化, 膨潤の遅れたコーンスターチが充填材として機能し, ゲルを補強すると推定される. この特性は, 水産および畜肉ねり製品のゲル補強に応用できる.
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© 日本応用糖質科学会
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