高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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第30回総会 会長講演
失語症の画像診断
田川 皓一
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2007 年 27 巻 1 号 p. 1-10

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抄録
  失語症者における画像診断の目的は,基礎疾患を診断し,責任病巣や発現機序を明確にして病態の理解や予後の推定に役立てることにある。脳梗塞による失語症者を対象として,前頭葉損傷と失語症,伝導性失語の責任病巣,ならびに境界型梗塞と失語症について検討を加えた。左の前頭葉損傷では種々の失語症が出現する。純粋語唖の責任病巣は中心前回であり,ブローカ領野に限局した病巣では超皮質性感覚性失語を呈する。この両領域が障害され運動性失語となる。ブローカ領野の周辺領域や前頭葉内側部の障害では超皮質性運動性失語が出現する。伝導性失語症の典型例では左の縁上回を中心とする領域に病巣が存在した。なお,このタイプの失語症は中心後回の病巣でも出現しうる。表層型の境界域梗塞では超皮質性失語が出現しうる。また,主幹動脈の閉塞による深部型の境界域梗塞では重度の失語症を呈すことがあり,この場合大脳半球にも重度の脳血流代謝の障害をみる。
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© 2007 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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