高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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教育講演
遂行機能の臨床
種村 純
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2008 年 28 巻 3 号 p. 312-319

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抄録
  遂行機能とは活動を計画し,周囲の人々と調整して社会的問題を解決していくことに関係し,その障害は前頭前野を中心とした脳損傷により出現する。関連障害としてaction disorganization syndrome があり,多くのステップを含む課題に困難を示す。遂行機能の評価法として,構造化されていない,手がかりもない課題,流暢性検査,概念形成検査などが用いられる。ワーキングメモリの研究法である2 重課題を遂行機能障害者に適用し,2 つの課題を単独で行う場合に比べ両課題を同時に行うと課題の遂行時間が延長する。遂行機能の治療では,複雑な活動の実行,特定の場面への適応方法,問題の解決法などを教育する。携帯情報端末(PDA)を用いて,実際場面で目標活動に含まれるステップを表示することもできる。遂行機能障害者の評価・治療成績を見ると,注意,記憶などの障害を併せ持ち,注意や記憶の訓練の後に遂行機能の訓練が行われていた。
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© 2008 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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