2009 年 29 巻 2 号 p. 256-267
注意障害を伴った脳血管障害患者10 例に対して,独自に作成したパーソナルコンピュータ用プログラムを用いた認知リハビリテーション Computer-assisted Attention Training (CAT) をABA' に準じた研究デザインで試み,注意検査 (AMM,TMT,PASAT) と注意の行動評価尺度 (Ponsford スケール) ,ADL 検査 (FIM) を各々4 回行って,その結果を比較検討した。それによれば CAT を4 週間実施した前後において,注意検査,Ponsford スケールとFIM の検査結果が有意な改善 (p<0.01 または0.05) を示した。ただ一部の注意検査 (AMM 的中率,TMT-Part B,PASAT-2 秒用) 結果は,A 期も改善 (p<0.01 または0.05) を示した。さらに A’期においては,注意検査結果は維持され,Ponsford スケールとFIM の結果は有意な改善 (p<0.01) を示した。以上の検査結果を総合的に考えると,対象者が回復期であり自然回復の要因も一部含んでいると思われるが,CAT のある程度の効果もあったと推測される。以上から CAT は注意障害に有用な訓練方法である可能性が示唆された。