高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Online ISSN : 1880-6554
Print ISSN : 1348-4818
ISSN-L : 1348-4818
ワークショップ I : 画像診断と臨床症状
拡散テンソル画像の臨床応用 : 失語症の検討
近藤 正樹渡辺 (細見) 明子
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 30 巻 3 号 p. 398-403

詳細
抄録

Fiber tracking (Tractography) は,MRI を用いた拡散テンソル画像の解析により,白質の線維束を描出する。この手法により神経線維の可視化や臨床的評価が可能となってきている。今回,我々の施設で行った左中大脳動脈 (MCA) 梗塞の弓状束の Tractgraphy の検討を報告した。脳梗塞急性期に弓状束の Fiber tracking を行い,fiber 数,Fractional anisotropy (FA) を算出した。弓状束 FA 値の左右比は失語の予後と相関しなかったが,弓状束 fiber 数の左右比は予後不良群で有意に少なく,失語の予後予測に寄与できると考えられた。また,functional MRI (fMRI) と Tractography を組み合わせた研究として Saur らの報告を紹介した。彼らは,健常者を対象として,fMRI によって得られた賦活部位に従って Fiber tracking を行い,復唱課題に関連した背側路,理解課題に関連した腹側路を示した。

著者関連情報
© 2010 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
前の記事 次の記事
feedback
Top