高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
右後大脳動脈梗塞 (内側後頭側頭葉領域) による街並失認の一例
―同時失認との関連性について―
生方 志浦磯野 理種村 留美
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2011 年 31 巻 4 号 p. 384-392

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抄録

症例は 68 歳女性, 右後大脳動脈領域の脳梗塞後に街並失認をきたした。基本的な視知覚機能は保たれていたが, 状況図の同定では全体把握が困難であり, 同時失認が認められた。街並の同定や描画においても, すべてが部分部分のつなぎ合わせであり, また街並を想起する際にも全体をとらえることが困難であった。街並を認知するには, 各建物とそのレイアウトを理解し, それらをまとめ上げて意味に到達することで同定に至る。本症例は右海馬傍回病変によって街並のレイアウト, context の理解という全体把握の機能が損なわれたことで, 複雑な視覚対象の認知が困難となり, 街並失認が生じたと考えられた。本症例の示すような街並失認と同時失認は, 全体把握の障害という共通した特徴を持ち, その背景基盤が極めて近接した障害であることが示唆された。

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© 2011 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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