J-STAGE トップ  >  資料トップ  > 書誌事項

高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Vol. 31 (2011) No. 4 p. 411-421

記事言語:

http://doi.org/10.2496/hbfr.31.411

原著

発症時から失語症を認めず, 言語性短期記憶 (Short-Term Memory : STM) に選択的な障害を呈した 1 例を報告した。本例の知見から, 言語性 STM の解剖学的基盤は優位半球の側頭弁蓋~横側頭回近傍と示唆された。本例は数唱に比べ, 明確な意味を伴い, かつ同じ音韻系列を持つ文の復唱が良好 (例 : “8-2-3-1”の数唱は困難だが, “蜂に刺されて散々な一日だ”という文の復唱は可能) , 桁数付き数字の復唱が良好 (例 : “7-2-3”の数唱は困難だが, “ななひゃくにじゅうさん”の復唱は可能) , 無意味語系列に比べ有意味語系列の再生が良好であった。以上から言語性 STM における「容量」は必ずしも音韻情報量に依存せず, 意味の付与や情報のチャンク化の効率により決定されると考えられ, 既報告を支持した。さらに, 刺激提示の時間間隔や素材の変化により把持成績には差異が生じており, 援用されるストラテジーもそれぞれ異なる可能性が示唆された。

Copyright © 2011 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会

記事ツール

この記事を共有