高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム IV : エビデンスのある認知症のリハビリテーション
コミュニケーション支援におけるエビデンスの可能性
─言語聴覚士の立場から自験例を通して─
飯干 紀代子
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2012 年 32 巻 3 号 p. 468-476

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抄録
Alzheimer 病 (以下, AD) のコミュニケーション障害の類型化と, それに基づくタイプ別のコミュニケーション支援の自験例を提示し, 日常臨床とエビデンスとの関係, 今後の可能性について論じた。第 1 に, Ward 法を用いたクラスター分析の結果, AD のコミュニケーション障害は, 全体高型, 聴覚障害型, 認知障害型, 構音障害型, 全体低型の5 つに分類された。第2 に, 認知障害型に実施した集団での包括的認知訓練では, AD 群にドネぺジル治験と同等あるいは一部上回る MMSE 総得点の変化を認めた。第 3 に, 聴覚障害型に実施した口形提示が単語の聴こえに及ぼす効果の検証では, 中~重度の聴覚障害を伴う AD に著明な効果を認めた。認知症のコミュニケーション支援では, 高いエビデンスレベルの trial を試みる一方で, 原因疾患や重症度別の詳細な分析や薬効との比較といった仮説検証型の日常臨床の重積が, EBM 実践における自己評価として特に重要な意味を持つと考えられた。
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© 2012 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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