高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
Online ISSN : 1880-6554
Print ISSN : 1348-4818
ISSN-L : 1348-4818
会長講演
脳卒中後アパシーと血管性認知症
小林  祥泰
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 34 巻 1 号 p. 1-8

詳細
抄録
脳卒中後アパシーは,長い間脳卒中の一つの精神症状すなわち「自発性低下」としてのみ注目され,かつて脳卒中に汎用された脳循環代謝改善薬の多くは自発性低下を治療の標的としていた。その後 Robinson らにより post-stroke depression(脳卒中後うつ状態)が報告され注目された。血管性うつ状態の定義も発表されたがうつ病の中核症状を欠くものであったこと,抗うつ薬の効果が認められなかったことから最近では関心が遠のいていた。今から思えばこれがまさに脳卒中後アパシーであったといえる。脳卒中後アパシーは脳卒中後にもっとも多い神経心理学的症状とされているが,血管性認知症の一症状とみなすのではなく,アパシーが先行して廃用症候群を介して血管性認知症自体を引き起こす重要な因子であることを認識すべきである。
著者関連情報
© 2014 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
次の記事
feedback
Top