高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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34 巻 , 1 号
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会長講演
  • 小林  祥泰
    2014 年 34 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    脳卒中後アパシーは,長い間脳卒中の一つの精神症状すなわち「自発性低下」としてのみ注目され,かつて脳卒中に汎用された脳循環代謝改善薬の多くは自発性低下を治療の標的としていた。その後 Robinson らにより post-stroke depression(脳卒中後うつ状態)が報告され注目された。血管性うつ状態の定義も発表されたがうつ病の中核症状を欠くものであったこと,抗うつ薬の効果が認められなかったことから最近では関心が遠のいていた。今から思えばこれがまさに脳卒中後アパシーであったといえる。脳卒中後アパシーは脳卒中後にもっとも多い神経心理学的症状とされているが,血管性認知症の一症状とみなすのではなく,アパシーが先行して廃用症候群を介して血管性認知症自体を引き起こす重要な因子であることを認識すべきである。
教育講演
  • 山口 修平, 小野田 慶一
    2014 年 34 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    安静時機能的MRI (rs-fMRI) は脳全体の機能的結合性を簡便かつ鋭敏に解析できる方法として注目されている。被験者の負担が低く,短時間で測定が可能であり,認知症を始めとする精神神経障害を有する患者での測定に適している。安静時に最も強い機能的結合を示す神経ネットワークにデフォルトモードネットワーク(DMN) がある。DMN に含まれる部位はアルツハイマー型認知症でアミロイド沈着が出現する部位に一致し,認知機能障害の出現する前の段階からその結合性が低下することが明らかとなっており,早期診断に利用が可能である。また前頭側頭型認知症など他の認知症疾患の鑑別にも有用である。最近,グラフ理論を用いたネットワーク解析も有用性が明らかとなっている。今後,解析法の標準化,簡便化を行うことで rs-fMRI の臨床応用が進展し,認知症の早期診断に貢献することが期待される。
原著
  • 宮﨑 泰広, 藤代 裕子, 今井 眞紀, 種村 純
    2014 年 34 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    数唱や無意味音列の復唱は保持されているが,複数の単語や短文の復唱に困難を示した失語症例を経験し,本症例の言語性短期記憶障害について考察した。症例は70 歳の右利き,男性で,左中側頭回の脳腫瘍を摘出した。術後,発話は流暢であるが喚語困難を認める軽度の失語症を呈した。数唱は7 桁,無意味音列は8 モーラまで復唱可能であった。一方,2 モーラの単語を5 語連続して復唱できず,5 文節の短文の復唱は困難であった。また聴覚呈示された複数の単語に対して呈示順に眼前の線画を指示する課題は3 語で困難を示したが,漢字による視覚呈示された複数の単語に対して呈示順に線画を指示する課題では3 語は可能であった。この複数の単語を呈示順に線画を指示する課題では,音声と文字の入力モダリティーによる成績差を認めた。以上の結果から,数唱,音節列と単語に関する短期記憶の処理過程が異なることを示唆した。
短報
  • 森岡 悦子, 高橋 秀典, 中谷 謙
    2014 年 34 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2014/03/31
    公開日: 2015/04/01
    ジャーナル フリー
    脳出血による左頭頂葉の損傷後,空間関係の言語的理解に障害を来たした症例を経験した。症例は,前後左右などの言語理解は良好で,それらを言語的に表現できるにもかかわらず,複数の対象の空間関係を言語的に理解することができず,また親戚などの続柄の関係の言語的理解が困難という症状を示した。空間操作能力を評価し,分析したところ,心的空間内のイメージを操作するために必要な視点の変換,対象中心座標系に障害が認められた。本例の空間関係の言語的理解の障害は,主に空間認知機能の一つである,心的空間内のイメージ操作に関連する神経基盤の低下に起因する可能性があると考えられた。
第37 回日本高次脳機能障害学会学術総会講演抄録 一般演題
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