前頭葉損傷患者における言語理解障害について, 「単語指示課題 (単語を提示され, それに該当する対象を選択肢から選んで指差す課題) 」, 「文命令課題 (文レベルの命令文を提示され, その通りに動作する課題) 」, 「構文検査」を用いて検討した。その結果, 前頭葉損傷患者における「単語指示課題」の低下は, 左中前頭回損傷と関係が深いこと, そして, その機序として, 語義の理解障害というよりも, 課題形式 (提示された単語に該当する対象を選択肢から選んで指差すという形式) に関係の深い障害である可能性が示唆された。また, 「文命令課題」の低下は, ブローカ野後部と関係が深いこと, そして, その機序として, 想定されている視点と異なる文のパターンに対しての, 対応の問題に由来する可能性が示唆された。