高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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原著
言語流暢性課題に現れた認知症のワーキングメモリの特徴―言語流暢性課題にはワーキングメモリの 中央実行系が関連する可能性がある―
吉村 貴子前島 伸一郎大沢 愛子苧阪 満里子
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2016 年 36 巻 4 号 p. 484-491

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抄録

  言語流暢性課題 (Word Fluency Test: WFT) には, 意味流暢性課題 (Category Fluency Test: CFT) と文字流暢性課題 (Letter Fluency Test: LFT) があり, 臨床における認知症の評価にも有用と考えられている。
  今回われわれは, 認知症のWFT の成績とワーキングメモリ (working memory: WM) の関連について検討することで, 認知症の WFT に現れた WM の特徴を明らかにすることを目的とした。さらに, 認知症における WFT の結果によって, WM をどのように推定できるかについて考察した。
  結果, 認知症においても WFT は WM と関与する可能性があり, 特に LFT の成績には WM がより関わりが強いことが示唆された。さらに, アルツハイマー病と前頭側頭型認知症によって, WFT の遂行に関与する WM の特徴が異なる可能性も示された。
  これらより, 認知症タイプによって WFT の遂行に必要な WM の側面が異なる可能性について考察した。

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© 2016 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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