動詞の理解 / 産生が二方向性に障害された症例の 2 時点の経過を報告した。症例は 40 代男性, 左被殻出血により流暢型失語症を呈した。理解/ 産生課題いずれにおいても名詞に比し動詞での成績低下が明らかで, 1 時点目に比し 2 時点目で全体成績に改善を認めながらもなお, 名詞>動詞の傾向は不変であった。また動詞産生課題では, 提示された動作絵に見合う動詞が産生されなくとも正しい格助詞が産生されることが少なくなく, 格助詞の産生は動詞産生の成否とは必ずしも一致しなかった。このような結果から, 動詞の意味は文法機能と密接でありながらも, 独立したシステムであることが示唆された。