当院は 2004 年に高次脳機能障害支援拠点病院の指定を受け, 長野県東部地域における高次脳機能障害診療の中心を担っている。当院では, 医学的な管理が中心となる急性期は脳神経外科や神経内科, リハビリテーションが中心となる回復期は当科, 退院後の生活期は支援ワーカー等の福祉分野と, 支援者の主体を移しながらも, 全経過において当科が関わることで, 切れ目ない支援を行っている。また, 高次脳機能障害の中でも社会的行動障害支援においては, 精神科の役割も重要である。社会的行動障害による問題に満点の対応をすることは困難で, むしろすっきり解決できないことの方が多いが, 当院では, ① 基本的な対応をきちんとする, ② 他科・多職種と協力して支える, ③ 投げ出さない, ④ 見守る, の 4 点を基本として支援をしている。 社会的行動障害支援では, 患者や家族に寄り添い, 一緒に悩みながら, それぞれの立場で, その時々にできる対応を一生懸命行っていくことが大切であると考える。
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