高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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シンポジウム 3 : 記憶障害におけるリハビリテーションの原点とトピック
認知症患者の記憶障害に対する適切な対応法─認知症ちえのわ net の結果から─
數井 裕光佐藤 俊介吉山 顕次小杉 尚子池田 学
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2019 年 39 巻 3 号 p. 326-331

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抄録

  記憶障害は認知症患者に高頻度に出現する症状で, これに起因する「薬を飲み忘れる」, 「食事したことを忘れる」などの事象は, ケアする人達が対応に悩むこともあり, 認知症の行動・心理症状 (BPSD) と捉えられている。認知症ちえのわ net とは, 認知症ケアに関する実体験を日本全国から収集し, 多様な BPSD に対する様々な対応法の奏効確率を公開しているウェブサイトである。このウェブサイトに投稿された記憶障害に関するケア体験を集計したところ, 「薬を飲み忘れる」という症状に対する「薬を日付の書いた箱にセットする」, 「カレンダーを利用する」, 「薬を本人に手渡しできる体制を作る」の 3 種類の対応法の奏効確率は, それぞれ 40% , 55.3% , 92% であった。また「食事したことを忘れる」という行動に対する「食器などをすぐに片付けずに食事したあとを見せる」という対応の奏効確率は 66.7% であった。 認知症ちえのわ net で計算された奏効確率の一部を実臨床場面で検証したところ, おおむね同等の奏効確率が得られ, 認知症ちえのわ net の奏効確率は信頼できると考えられた。

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© 2019 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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