2021 年 41 巻 2 号 p. 186-192
本稿は高次脳機能障害と就労について概説した。労働者が会社を休むときには, どのような法律や社内規程に基づいて休んでいるのかを正確に理解しておく必要がある。
障害者雇用促進法と高次脳機能障害との関連について, 精神障害者保健福祉手帳によって障害者雇用率にカウントされているときには, 手帳が 2 年おきに更新されるため, 更新されなければ障害者雇用率にかかわるため注意が必要である。職場復帰に活用できる資源としては, リワーク支援, 障害福祉サービス, ジョブコーチ支援がある。近年は職場復帰に役立てるための資源としての自動車運転支援に関する研究が広く行われている。新型コロナウィルス感染症は障害者雇用にも影響を与えている。高次脳機能障害はその認知的特性からテレワークへの従事は容易でないと考えられる。