2022 年 42 巻 2 号 p. 192-196
作業療法士は, 患者の生活を支援するリハビリテーション専門職である。高次脳機能障害を呈する患者に対しては, 個々の患者の症状を評価し, 結果を解釈したうえで, 適切な治療介入プログラムや支援方法の選定・提供を行うことが求められる。しかしながら, 若手の作業療法士は, 作業療法の場面でこうしたプロセスに難渋することが少なくない。臨床神経心理士は, 神経心理学に関連する専門的知識および技能ならびに対人援助職としての能力と倫理観を備えた専門家と位置付けられており, 高次脳機能障害を呈する患者への作業療法の実践に役立つ資格である。そのため, 本稿では, 作業療法士の養成プログラムや若手の作業療法士が抱える問題点を紹介したうえで, 作業療法士が臨床神経心理士の資格を取得することの利点についての私見を述べた。