高次脳機能研究 (旧 失語症研究)
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高次脳機能障害の世界をかいまみる─四半世紀診ている外傷性脳損傷者 4 名から学んだこと, 10 年前とこの 10 年─
先崎 章
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2022 年 42 巻 3 号 p. 251-257

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抄録

  四半世紀にわたってリハビリテーション治療を行ってきた外傷性脳損傷者 4 名について, 経過と神経心理学的検査結果の推移を示し, 筆者が各症例から (a) 10 年前までに学んだことと, (b) この10 年で新たに学んだことを述べた。【症例 1】受傷時 10 歳代前半, 記憶障害と見当識障害が目立ったびまん性軸索損傷例から (a) 回復期の困惑, (b) 知能の長期経過を学んだ。【症例 2】受傷時 20 歳代, 記憶障害が目立った両側側頭葉 (広汎) 損傷例から (a) 障害の受け入れの葛藤, (b) 社会参加とはなにかを, 【症例 3】受傷時 20 歳代, 情動障害が目立った両側前頭葉 (前頭前野眼窩野) 挫傷例から (a) 易怒性の基盤にあるもの, (b) 家族の力を, 【症例 4】受傷時 40 歳代前半, 遂行機能障害が目立った前頭葉 (広汎) 挫傷例から (a) 諦めない就労支援, (b) メインテナンスを学んだ。症例ごとに, 医療者・支援者の立場から, 若干の考察を述べた。

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© 2022 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
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