2022 年 42 巻 4 号 p. 433-441
SALA : PR 28/AC 9 を用いて Alzheimer 病 (AD) 患者の類別詞産生・理解能力を健常対照者 (C 群) と比較した。AD 患者は C 群に比して類別詞産生・理解ともに成績が有意に低かった。産生面では「正しい呼称と誤った類別詞 (車 4 トウ) 」タイプの誤りが多かった。この誤りを示す AD 患者は SALA : VC 16/VC 17 の意味的非類似課題の成績が有意に低く, 語の過剰な関連づけを行うことが示された。理解面では「台」に対して船を対応させるなど, 何らかの共通性のもとに通常は異なるカテゴリーに属する対象を呈示類別詞の下に包摂していた。類別詞は主体的なカテゴリー化を反映し, その障害は共起する名詞/ 対象のカテゴリー化の異常を反映している。今回の結果は AD 患者では認知対象の捉え方が変容し, これに伴いカテゴリーが変更・拡大されている可能性を示唆している。固定されたカテゴリーの呼称・理解の比較・検討だけではなく, ダイナミックなカテゴリー化の異常をさまざまな病態で検討する必要がある。