抄録
筆者らは大学生の抑うつに焦点を当て,大学の授業および学生相談室で実施可能な予防教育プログラムの開発を行ってきた.本稿では,まず,学生相談室のグループワークへのCBTプログラムの導入経過や実施状況について報告する.次に,CBTプログラムの導入上の留意点や有効性を検討するため,一大学の学生相談室で実施した試行的なプログラムの効果を報告する.プログラム実施前後の質問紙調査および実施後の総合的評価により検討した結果,プログラム参加者において,プログラムが焦点を当てた認知的対処に関する自己効力感が向上したことが示された.今年度は参加者が非常に少なかったため,得られた知見は限定的なものであるが,参加者のコメントから本プログラムに対する学生の興味関心やニーズの高さがうかがわれ,今後,参加者数を増やす広報活動を工夫することが課題と考えられた.