抄録
【目的および方法】大麦摂取がメタボリックシンドロームの発症に及ぼす影響を研究した例は少なく,また大麦の品種の違いに着目した研究例も少ない.本研究では,食餌性肥満モデルマウスにモチ種であるキラリモチ(KM),ウルチ種であるファイバースノウ(FS),スカイゴールデン(SG)を12週間与え,大麦の品種の違いが耐糖能に及ぼす影響を検討した.【結果】終体重,体重増加量,飼料摂取量,飼料効率において各群間で有意差はみられなかった.腹腔内脂肪総重量,後腹壁脂肪重量,副睾丸周辺脂肪重量,腸間膜脂肪重量においても有意差はみられなかった.Control群に比べて,盲腸重量がKM群で有意に高値を示した.耐糖能試験ではKM群において,耐糖能が改善した.またFS群の空腹時血糖が有意に低値を示した.血清トリグリセリド濃度,グルコース濃度,遊離脂肪酸濃度は有意差が見られなかったが,血清総コレステロール濃度は,FS群で有意に高値を示した.血清インスリン濃度ならびにレプチン濃度において有意差はみられなかった.【考察】食餌性肥満モデルマウスにおけるモチ種やウルチ種の大麦の摂取は耐糖能を改善することが示唆された.