2015 年 2015 巻 25 号 p. 16-24
本稿はアメリカ合衆国ハワイ州におけるラジオ番組カ・レオ・ハワイを分析対象としている.1970〜80年代に放送された400を越える番組の録音に基づき,番組の全体像を描き出すことを目指した.カ・レオ・ハワイは,ハワイ先住民の言語文化の記録を通じてコミュニティの形成と維持を行うメディア実践であった.番組の特徴の1つはゲストであり,多くが年配のネイティブスピーカーであった.番組終了後は膨大な録音がデジタル化され,教育機関における電子メディア実践を通じて,現在でも引き続き言語の再活性化に貢献している.番組の録音が再活性化運動において貴重なのは,ハワイ語には組織的に収集され,これほどまとまった量の自然発話による音声資料がほとんど存在しないからである.また,年配の第一言語話者は高齢化が進み,現在の話者数はおそらく100人を切っており,新たに音声資料を生み出すことも容易ではない.