2016 年 2016 巻 26 号 p. 44-50
本研究は,社会福祉援助職者(ソーシャルワーカー)のソーシャルワークスキル向上について,スーパービジョンの視点から研究したものである.ソーシャルワーカーのスキル向上を目的としたスーパービジョンの在り方について,特に,ピア・スーパービジョンに焦点を当てた.同一分野,同一職種で行うグループ・スーパービジョンではなく,多領域のソーシャルワーカーによるピア・スーパービジョンの実施がこの研究の独自性である.
2014年5月から2015年3月迄行われたピア・スーパービジョンの内容は,援助者としての自己,女性支援,海外の高齢者福祉の現状,若年がん患者支援,アクティビティ,生活場面面接,介護支援専門員のスキルアップ,障害者支援と多岐にわたった.多領域のソーシャルワーカーによるピア・スーパービジョンの場では,教育的機能と支持的機能を中心に行われていることが分かった.また,参加したソーシャルワーカーたちは,自己の振り返りの重要性,様々な領域からの語りを通して自己の援助感の変容に気づくなど,ソーシャルワーカーのスキルアップへと繋がっていることが明確となった.引き続きピア・スーパービジョンを続け,詳細な語りの研究を期待する結果となった.