2018 年 2018 巻 28 号 p. 552-559
中学校漢文の教材は長年刷新が見られないままになっている.しかし平成28年12月に示された答申,「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策について」,では「学習指導要領等の枠組みの見直し」,「アクティブ・ラーニング」と共に「カリキュラム・マネジメント」が新学習指導要領の柱として位置づけられた.この提言は平成29年3月公示の学習指導要領にも反映されている.本論では「カリキュラム・マネジメント」に立脚した教科横断型授業の構成による漢文教材の選択拡大の可能性について考察した.今回は国語科の古典分野・漢文と,社会科の歴史分野との連携のケースを例示したのみだが,地域の文化・歴史や人的資源の有無などを鑑みながら総合的学習との連携も可能である.こうした従来の教科書に依拠した国語科教育の枠を超えた取り組みが,自文化に根付き現代社会ともつながる漢文との出会いを生徒にもたらすものと考える.