2018 年 2018 巻 28 号 p. 75-81
従来,裏返し構造は,異郷訪問譚にみとめられる構造であるとされてきたのだが,旧約聖書「創世記」におけるいくつかの物語と,新約聖書「マタイによる福音書」におけるいくつかの物語には,異郷訪問譚とは言えないにもかかわらず,裏返し構造が出現する事例が見いだされた.かかる裏返し構造の出現が,聖書全般にみとめられる特徴であるか否かを検証する目的から,本稿では,新約聖書に収納された「ルカによる福音書」をテキストとし,裏返し構造を照合することにより得られた構造的知見を資料として紹介する.