2023 年 2023 巻 33 号 p. 127-134
複雑化・複合化する地域の支援ニーズに対応するため,多世代住民が互いに支え合えるような世代間交流型の事業推進が重要である.これにより,高齢であっても能力やスキルに応じて支え手になることが可能である.ただし,世代間交流型の事業に参加している高齢者の特性や意識については十分に明らかでない.そこで本研究では,狭山市社会福祉協議会が実施している「狭山高校生Yumeプロジェクト」を事例に,どのような高齢者が世代間交流型の事業に参加しているか,何が活動のモチベーションやメリット,課題に感じているか検討した.継続的にプロジェクトに参加している高齢者6名へのインタビュー調査の結果,社協職員からの声掛けが参加の端緒になっており,多くが個人的な関心や次世代育成意識(ジェネラティビティ意識)がモチベーションになっていることが明らかになった.プロジェクトに参加した高齢者は活動に対して肯定的な考えを持っており,課題として挙がった点も次につながる建設的な意見であった.
今後,すでに社協とのつながりを持っている高齢者のみならず,地域在住の一般の高齢者に対しても働きかけて,新たなつながりを作っていくことで,担い手として世代間交流型のプロジェクトに継続的に参加する高齢者をさらに増やしていくことも重要である.