日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
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総説
再生不良性貧血に対する代替ドナーからの造血幹細胞移植
山﨑 宏人
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2016 年 5 巻 2 号 p. 35-40

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抄録

 若年の再生不良性貧血に対する造血幹細胞移植では,「HLA適合同胞ドナーからの骨髄移植」が第一選択である。一方,HLA適合同胞ドナーが得られない免疫抑制療法不応の患者では,たとえリスクが高まっても代替ドナーからの移植を考慮せざるを得ない。移植成績を向上させるためには,前処置毒性の軽減と拒絶および移植片対宿主病(GVHD)予防の強化が必要である。心毒性軽減のためcyclophosphamide(CY)を減量し,その代わりにfludarabineを併用する前処置が開発された。抗胸腺細胞グロブリン(ATG)の代わりにalemtuzumabを前処置に用いることによってGVHD予防が強化され,生存率が向上することが報告されている。生着不全のリスクが高い臍帯血移植であっても,前処置の免疫抑制を強化すれば生着率が向上する可能性がある。移植後早期にCYを投与することによってGVHDが高度に抑制され,ドナーがHLA半合致であっても安全に移植できることが近年示されている。

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© 2016 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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