2016 年 5 巻 2 号 p. 41-50
同種造血幹細胞移植後のCMV感染の危険因子を検討するため,当院での81例の同種移植症例を対象に,RQ-PCR法とAg法を併用して後方視的に解析した。移植後第2,3週では白血球数が低値のためAg法で検出不能の症例でも,RQ-PCR法では検出可能であった。また,両検査の結果は有意に相関した。移植後第4週ではRQ-PCR法はAg法より有意に検出率が高く,移植後第3,4週においてRQ-PCR法でのCMV陽性群は陰性群と比較し有意に移植後day 100までに先制治療を行った症例が多かった。リンパ系腫瘍は骨髄系腫瘍と比較し,両測定法で移植後第3,4週において高CMV量であり(RQ-PCR法;P=0.02,P=0.014,Ag法;P=0.005,P=0.002),先制治療を要する割合が骨髄系腫瘍と比べ有意に高くCMV感染の危険因子となりうると考えられた。また,移植前血清IgG低値群は,RQ-PCR法で移植後第2週において有意に高CMV量であった。これらの症例では注意深く移植後モニタリングすることが必要と考えられた。