10層RC造基礎免震建物の擁壁衝突時に生じる免震部材の引張面圧および引張変形量を評価した.検討では上町断層帯地震動を入力し,免震部材の引張剛性は2段階で変化する非線形特性とした.その結果,引張面圧は約1.9 N/mm2,最大引張変形量は約17 mmとなった.低剛性ばねを付加するタイプの引張面圧低減機構を用いた場合,引張面圧は2/3程度に低減でき,浮き上がり量は約22 mmとなった.鋼材の曲げ降伏を利用した機構を用いた場合には引張面圧1.0 N/mm2以内に制御でき,浮き上がり量は他の機構よりも小さくなった.この機構は擁壁衝突時における免震部材の損傷制御にも有効と考えられる.