2017 年 6 巻 4 号 p. 152-156
慢性肉芽腫症の根治的治療の一つは造血幹細胞移植であるが,骨髄非破壊的前処置(reduced intensity conditioning,RIC)は標準化されておらず,特に非血縁ドナーでの至適な前処置法の確立が求められている。2014年にEBMT working groupが,用量を調整したブスルファン(targeted BU)を含むRICによるHSCTの良好な成績を報告したが,本邦では同様な方法での移植例の報告はない。我々は,EBMTの前処置に準じて,非血縁ドナーからHSCTを2例実施した。1例目はHLA一抗原不一致,2例目はHLA抗原一致の非血縁ドナーであった。2症例とも移植後の経過は良好で,生着後に活性酸素産生能の正常化を確認した。本邦でも,試験投与によるtargeted BUを含むRICは,慢性肉芽腫症に対する非血縁ドナーからの移植前処置として安全に実施しうると考えた。