2019 年 8 巻 1 号 p. 43-49
X連鎖高IgM症候群(XHIM)は造血細胞移植(HCT)が推奨されるが,最適な前処置法は確立していない。XHIMに対するフルダラビン(Flu)とブスルファン(BU)(FluBU)の強度減弱前処置のHCTの有効性を検討した。方法:対象は2~6歳のXHIMの男児3例。症例1は再移植例だった。3例に移植前の合併症はなかった。前処置はFlu 180mg/m2,BU 16回投与(目標AUC 60mg*hour/L)で,抗胸腺細胞グロブリンを症例1,3で使用した。ドナーソースは2例が臍帯血,1例が骨髄であった。結果:全例が生着し,90%以上のドナー型キメリズムとなった。症例1,3でウイルス感染症と血球貪食性リンパ組織球症が見られた。症例3は自己免疫性血球減少症から二次性生着不全に至った。結語:XHIMに対するFluBUのHCTは有効となりえるが,合併症に対する検討の余地がある。