日本造血細胞移植学会雑誌
Online ISSN : 2186-5612
ISSN-L : 2186-5612
研究報告
X連鎖高IgM症候群に対するフルダラビン・ブスルファンを用いた強度減弱前処置による造血細胞移植
西村 聡星野 顕宏松本 和明小野 真太郎田中 真理石渡 泰芳安原 眞人足洗 美穂満生 紀子樋口 紘平井上 雅美宮村 能子橋井 佳子柳町 昌克磯田 健志梶原 道子高木 正稔水谷 修紀金兼 弘和今井 耕輔森尾 友宏
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2019 年 8 巻 1 号 p. 43-49

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抄録

 X連鎖高IgM症候群(XHIM)は造血細胞移植(HCT)が推奨されるが,最適な前処置法は確立していない。XHIMに対するフルダラビン(Flu)とブスルファン(BU)(FluBU)の強度減弱前処置のHCTの有効性を検討した。方法:対象は2~6歳のXHIMの男児3例。症例1は再移植例だった。3例に移植前の合併症はなかった。前処置はFlu 180mg/m2,BU 16回投与(目標AUC 60mg*hour/L)で,抗胸腺細胞グロブリンを症例1,3で使用した。ドナーソースは2例が臍帯血,1例が骨髄であった。結果:全例が生着し,90%以上のドナー型キメリズムとなった。症例1,3でウイルス感染症と血球貪食性リンパ組織球症が見られた。症例3は自己免疫性血球減少症から二次性生着不全に至った。結語:XHIMに対するFluBUのHCTは有効となりえるが,合併症に対する検討の余地がある。

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© 2019 一般社団法人 日本造血細胞移植学会
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