2019 年 8 巻 1 号 p. 36-42
口腔粘膜障害の創部保護を行い,疼痛を緩和する医療機器 「エピシル® 口腔用液」(ソレイジア・ファーマ株式会社,東京)が2018年4月に保険適用された。しかし,本邦で本機器の疼痛緩和効果および使用感等についての報告はない。そこで本院で造血細胞移植を受け,口腔粘膜障害の疼痛を訴えた4名の患者を対象とし,症例研究を行った。使用後5分において,4人のうち3人でペインスコアが減少し,その後30分から120分にかけて口腔内疼痛は概ね同等で推移した。2名が味覚の変化および刺激感について,1名が不快感について 「少し気になる」 と回答したが,使用後2時間の評価時間の後,全員が継続使用を希望した。有害事象および機器としての不具合の発生はなかった。エピシル® 口腔用液は,造血細胞移植患者を対象として,疼痛をはじめとする口腔粘膜障害による不快感を緩和することを示唆した。