2020 年 9 巻 2 号 p. 53-59
小児に対するreduced-intensity conditioning(RIC)は移植後急性期の治療関連合併症のみならず,晩期合併症の軽減の可能性についても期待されている。当院での小児の同種移植後フォローアップ例の検討では骨髄破壊的前処置(myeloablative conditioning,MAC)症例とRIC症例の晩期合併症の比較では,性腺機能障害はRIC群でMAC群よりも有意に少なく,成長障害に関しては統計学的有意差はないもののRIC群でMAC群よりも少ない傾向にあった。フォローアップ期間が短いものの,RICは晩期合併症軽減を期待できる前処置と考えられ,積極的に取り組むべき前処置法であると考えられた。移植晩期合併症に関して本人・家族へ十分な情報提供を行い,移植後は長期フォローアップにより移植経験者を支えることが重要である。そして,可能な限り機能温存に取り組むことが望まれる。