近代教育フォーラム
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コロニアリズムの視座は近代教育学の学的体質をどこまで問えるか(司会論文,コロニアリズムとしての教育学,Symposium)
原 聡介
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2003 年 12 巻 p. 119-126

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抄録

提案者3氏の問題提起を批判的に再構成しながら、教育学の本質をコロニアリズムの視点から問うための問題の立て方について若干の提案を試みる。文化的同化の機能をもつ教育には、おのずからコロニアリズムの本質が内在する。そのことを非文明の文明化という啓蒙の論理に出発点をもつ近代教育思想を歴史的視野において改めて考察することが本シンポジウムの課題であり、相応の成果を得た。しかしながら、いっぽうでは、その視野がややもすると人種主義的支配への批判や、二重基準に基づく教育機会の不均等論に限定されやすいことを反省しなければならない。教育学のもつコロニアリズム的本質を論ずることは今日大きな意味をもっているが、文化的同化と対抗文化のダイナミックスを軸にして、改めてその問い方を考えて見なければならない。

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