抄録
阪神・淡路大震災により住宅を失った被災者に対して,神戸市をはじめ被災自治体が大量に供給した災害復興公営住宅では,平山洋介(1999)が指摘しているように,入居プロセスにおいて「高齢者」「低所得者」が集められた,いわゆる「社会的・空間的隔離」の状態となっている。現在,震災から8年が経過したが,復興住宅をめぐって様々な問題,とりわけ高齢居住者の孤独感からの閉じこもり,延いては孤独死などが深刻な問題となっている。本発表はこうした問題を検証すべく,神戸市郊外の復興住宅A団地に暮らす高齢者を対象にミクロな彼/女らの日常生活の実態を報告するものである。