人文地理学会大会 研究発表要旨
2003年 人文地理学会大会 研究発表要旨
セッションID: 303
会議情報
武蔵野市における通所型介護施設の立地と利用形態に関する考察
*畠山 輝雄
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
近年、わが国では高齢化が急速に進んでおり、この急速な高齢化に伴い、介護保険制度施行後、介護サービスのニーズが高まっている。このことから、介護サービスを行うに際に拠点となる高齢者福祉施設は早急の整備を強いられている。この社会的要請に応えるべく各自治体では老人保健福祉計画、介護保険支援事業計画に沿って高齢者福祉施設の整備、その他福祉施策の展開を行っている。高齢者福祉施設の中でも通所が高い語施設は、施設の車により利用者を送迎するという性格上、利用に地理的制約が起きる。その結果サービス空間が狭域であることから、地域密着型施設といえる。これらのことから通所型介護施設を地理学的に分析することは有効であるといえる。そこで本発表では、高齢者福祉施策に早くから取り組んできた武蔵野市の通所型介護施設の立地と利用実態を考察する。その結果、通所型介護施設を利用する場合、利用者は自宅からの近接性を重要視することがわかった。同時に施設側も一定の時間内で送迎可能な地域にサービスを限定している。複数の施設のサービス範囲が重複する地域も存在しており、利用者が複数の施設を選択可能な場合、自宅からの近接性のほかに、サービス内容やケアマネージャーの助言により施設の選択を行っている。武蔵野市の場合、市の委託施設とその他の施設が混在しており、運営資金面で差が出ることから委託施設とその他の施設とでサービス、設備に差が生じており、施設選択に影響している。そして、武蔵野市では在宅サービスを利用する際の利用料の7%助成を行っていることから、市内でのサービスの利用意識を高めさせ、周辺自治体の施設の利用を滞らせるため、武蔵野市内完結型の通所型介護施設の利用実態となっている。
著者関連情報
© 2003 人文地理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top