人文地理学会大会 研究発表要旨
2003年 人文地理学会大会 研究発表要旨
セッションID: 309
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横浜みなとみらい21地区におけるオフィスの立地プロセス
*佐藤 英人
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抄録

本発表の目的は,横浜みなとみらい21地区(以下,MM21と略す)を事例として,当地に進出したオフィスの立地プロセスを検討することである.東京大都市圏では,1980年代後半以降,オフィス開発事業が盛んに展開されてきた.すでに東京都内をはじめとする主要なオフィス開発事業は,2003年までに概ね完了し,東京都区部におけるオフィス床のストック量は1982年(約5,700万_m2_)から2002年(約12,400万_m2_)の20年間でほぼ倍増した.とりわけ近年では,広いオフィス床が確保され,かつ,高い性能を誇るインテリジェントビルへの需給量が著しく増加する傾向にある. 確かに,優良なオフィスビルが多数,竣工することは,都市内でおこなわれる経済活動の円滑化・合理化を図る上で重要な役割を持つ.しかしながら一方では,新設されたオフィスビルと既存のオフィスビルとの間で,テナント企業の激しい争奪が起こり,争奪に敗れたオフィスビルでは,空室率が大幅に上昇するという,オフィス需給の不均衡が懸念されよう. こうしたオフィス需給の不均衡に関する学術的検討は,未だ十分な定量的・定性的データが存在しないため,都市経済学や不動産学などの一部の分野による予察的検討の緒がつけられたに過ぎない.つまり,オフィス開発事業が,競合する既存のオフィスビルに対して,経営的にどのような影響を与えるのか,不均衡発生メカニズムの解明に向けた基礎的知見が得られていない現状にある. したがって,本発表では,MM21に進出したオフィスの立地プロセスを考察し,当オフィス開発事業が競合する既存のオフィスビルに対して,経営的にどのような影響を与えるのか検討する.

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© 2003 人文地理学会
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