人文地理学会大会 研究発表要旨
2003年 人文地理学会大会 研究発表要旨
セッションID: 315
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物語としての都市と農村の終焉
北京市の「民工」集住地区について
*松村 嘉久
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抄録
本発表の目的は、北京市における出稼ぎ労働者(民工)の人口動態と就労実態を明らかにし、出稼ぎ労働者集住地区の分布およびその形成からクリアランスにいたる過程に迫ることにある。 2001年11月に実施されたサンプル調査によると、北京市の外来人口は328.1万人であった。15歳から59歳の労働適齢人口が90.8%を占め、北京市近郊に借家住まいする者が多く、長期滞在化する傾向が確認できた。出稼ぎ労働者の多くは建設業やサービス業に従事しており、北京市の生産・建設現場や市民生活を支えている。 外来人口は大きく「歓迎すべき客」・「来て欲しい客」・「黙認すべき客」・「招かざる客」に分けることができ、本発表で言う集住地区に居住しているのは、主に「黙認すべき客」や「招かざる客」である。いずれも「客」であることに変わりなく,北京市における出稼ぎ労働者問題は、日本の外国人労働者問題と構造がよく似ている。毛沢東時代から都市と農村を隔ててきた「見えない壁」は事実上崩壊しているが、制度上は今なお健在である。「物語としての都市と農村」は終焉を迎えているものの、「都市と農村の終焉」もまた物語として存在している。 北京市における大規模な出稼ぎ労働者の集住地区は、主として環三路(第三環状道路)の外側の近郊区(海淀区・朝陽区・豊台区・石景山区)に分布している。2008年北京オリンピックに向けての建設ラッシュのなかで、少なからぬ集住地区がクリアランスの対象となっている。本発表では北京市当局による都市計画などの「見える手」に注目しつつ、現地調査に基づいて、こうした集住地区の形成からクリアランスにいたるまでの過程が明らかにされた。
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© 2003 人文地理学会
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