抄録
納豆様の無塩発酵大豆食品は,東南アジア大陸部の中国雲南省あたりが起源との見方がある.そして,雲南省を中心に,ミャンマー,タイ,ラオスにも納豆様の無塩発行大豆食品が分布している.ラオスの無塩大豆発酵食品は「トゥアナオ(腐った豆の意味)」と呼ばれ,北部の市場などで売られており,カオソーイと呼ばれる日本のうどんのような麺の辛子ミソには必ず入っている.しかし,ラオスのトゥアナオについては,ほとんど知られていない.発表では,ラオスの無塩発行大豆食品がいかにして製造され,そしてだれによって伝えられ,また,どのような経路で拡がっていったのか文化地理学的視点から考察する.