抄録
地中海最南端に浮かぶイタリアのランペドゥーザ島には、ここ15年ほどのあいだ、地中海を縦断するボートピープルがやってきている。ヨーロッパ/イタリアのスケールではその対応のために様々な試みがなされてきたが、その試みはいずれもこのランペドゥーザの地理へとローカル化、物質化されなければ効果を発揮しない。しかし、このローカル化の過程で、ランペドゥーザの島民から、彼らの日々の生活との関係で、様々な異議申し立てが行われてきた。発表では、島の収容施設に収容された移民の存在をも視野に入れた上で、こうしたスケール間の関係性を、ランペドゥーザにおける場所の政治として分析する。